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IEC規格とは?JIS規格、ISO規格との違い

製造業に携わる上で避けては通れないのが「IEC規格」や「JIS規格」といった標準規格の遵守です。しかし、いざ実務に落とし込もうとすると「ISO規格とは何が違うのか」「自社製品にはどの規格を優先すべきか」と迷う場面も少なくありません。
近年、グローバル化の進展に伴い、日本国内のJIS規格も国際規格であるIEC規格やISO規格との整合化が急速に進んでいます。これら規格の体系を正しく理解することは、製品の品質保証だけでなく、海外展開や設計の標準化において極めて重要な要素となります。
この記事では、IEC規格・JIS規格・ISO規格の基礎知識から関係性や違いについて詳しくご紹介していきます。
IEC規格とは
IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)規格は、電気および電子技術分野における国際標準を策定するための規格です。1906年に設立されたこの国際機関には、日本を含む世界各国が加盟しており、製品の安全性、互換性、性能に関する基準を統一することで、国際的な取引を円滑にする役割を担っています。
現代の製造業において、家電製品から産業用機械、エネルギーインフラに至るまで、電気を扱う製品のほとんどがこのIEC規格の影響を受けているといっても過言ではありません。特に欧州市場をはじめとする海外展開を目指す企業にとって、IEC規格への適合は事実上の必須要件(デファクトスタンダード)となっています。
IEC規格のTRとは
IEC規格に関連する文書の中で、しばしば目にするのが「TR」という表記です。これは「Technical Report(技術報告書)」の略称を指します。通常の「IS(International Standard:国際規格)」が製品や技術が遵守すべき「基準」を定めているのに対し、TRは技術的なデータや調査結果、あるいは将来的な標準化に向けた議論のまとめといった「情報提供」を主目的としています。
TRは、特定の技術分野において標準化がまだ成熟していない段階や、業界内のガイドラインとして情報を共有したい場合に発行されます。設計開発者は、ISだけでなくTRを参照することで、最新の技術動向や規格策定の背景にある考え方を理解することが可能となります。
JIS規格とは
JIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)は、日本の産業製品に関する基準を定めた国家規格です。かつては「日本工業規格」と呼ばれていましたが、法改正により2019年から「日本産業規格」へと名称が変更されました。
JIS規格は、製品の寸法、品質、安全性、試験方法などを細かく規定しており、日本の製造現場で最も広く普及している基準です。特筆すべき点は、近年JISの国際整合化が進んでいることです。日本国内のみで通用する独自の基準(ガラパゴス化)を避け、輸出入をスムーズにするために、多くのJIS規格がIEC規格やISO規格と内容を合わせる形で策定・改定されています。
ISO規格とは
ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)規格は、電気・電子分野「以外」のあらゆる産業分野における国際標準を策定する規格です。1947年に設立され、スイスのジュネーブに本部を置いています。
ISO規格で有名なものには、品質管理の「ISO 9001」や環境管理の「ISO 14001」といったマネジメントシステム規格がありますが、ネジの寸法や写真フィルムの感度、非常口のマーク(ピクトグラム)など、私たちの身の回りにある膨大な数の製品・仕組みがISOによって標準化されています。
IEC規格とJIS規格・ISO規格の関係性
これら三つの規格は、互いに独立しているのではなく、密接にリンクしています。その関係性を整理すると、以下のようになります。
国際的な役割分担
- IEC:電気・電子技術分野の国際標準
- ISO:電気・電子以外の全産業分野の国際標準
この二つの機関は協力関係にあり、情報技術(IT)などの境界領域については共同で「ISO/IEC規格」を策定することもあります。
国家規格(JIS)への反映
国際規格(ISO/IEC)で決まった内容は、日本国内の規格であるJISへと取り込まれます。この際、国際規格と全く同じ内容であれば「IDT(一致)」、一部修正があれば「MOD(修正)」といった形で、その整合レベルが明記される仕組みです。
このため、日本国内でJIS規格を遵守して製品を製造することは、多くの場合で世界基準(ISO/IEC)に準拠することと同義となり、グローバルな競争力を維持する基盤となります。
IEC規格とJIS規格・ISO規格との違い
「どの規格を見ればよいのか」という疑問に対し、最も分かりやすい違いは「対象とする分野」と「適用の範囲」にあります。
分野の違い
製品が「電気を使うものか、電気信号を扱うものか」が判断の境目です。基板やケーブル、コネクタ、モータなどの電気部品に関する標準化はIEC規格の領分であり、それ以外の形状、材質、管理体制などはISO規格の領分となります。
地域性の違い
JIS規格はあくまで「日本国内」での標準ですが、ISO/IECは「世界共通」の物差しです。海外輸出を前提とする場合、JISの番号だけでなく、その元となっているISOやIECの番号を確認し、現地の法規制が求める国際規格に適合しているかを検証する必要があります。
七星科学研究所ではさまざまな規格を取得したコネクタを取り扱っています
製造現場における電気接続の要となる「コネクタ」の選定において、規格への適合性は製品の信頼性を左右する極めて重要な要素です。
株式会社七星科学研究所では、長年にわたり培ってきた技術力を背景に、JIS規格はもちろん、欧州EN規格や米国UL規格、カナダCSA規格に適合した高品質なコネクタを幅広く展開しています。産業機器の輸出に欠かせない安全基準を満たした製品や、厳しい環境下での使用を想定した防水コネクタなど、多様なニーズに応えるラインナップが特徴です。
「新JIS(IEC整合規格)に対応した回路設計に最適な部品を選びたい」「海外輸出向けの装置に使うコネクタの規格適合状況を知りたい」といった課題をお持ちの方は、ぜひご相談ください。



