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2025/03/18

防爆コネクタとは?使用用途や規格を解説

防爆コネクタとは、爆発の危険がある環境下で安全に電気接続を行うために設計された特殊なコネクタのことです。

石油・ガス産業や化学プラント、発電所などの現場で広く使用され、可燃性ガスや粉塵による爆発リスクを最小限に抑える役割を果たしています。

近年、日本国内でも防爆規格に対応したコネクタの需要が増加しており、企業の安全基準や国際規格(IECEx、ATEX、国内のTIIS規格)への適合が重要視されています。

本コラムでは、防爆コネクタの基本概要や用途、主要な防爆規格の種類、さらには日本国内で流通している代表的な製品について詳しく解説いたします。

防水コネクタや防爆コネクタなど様々なエレクトロニクス製品を支えるコネクタを展開しています。七星オリジナルのバリエーション展開により、			様々な分野で機器の一部品として活躍しています。配電機器、気象観測装置、建設機械、工作機械、農業機械、FA機器、通信インフラ、試験設備etc...|製品紹介ページはこちら

防爆コネクタとは

防爆コネクタとは、爆発の危険がある環境下で安全に電気接続を行うために設計された特殊なコネクタのことです。

防爆コネクタは主に、石油・ガス産業や化学プラント、発電所、鉱業、トンネル工事などの高リスクな環境で使用されます。こうした現場では、可燃性ガスや可燃性粉塵が発生しやすいため、通常の電気コネクタでは火花が発生し、爆発を引き起こす可能性があります。

防爆コネクタの特徴

防爆コネクタは、一般的な産業用コネクタと比較して、以下のような特徴を持ちます。

 

高い耐久性

厳しい環境条件(温度変化、防水、防じん、爆発など)に耐え得る設計がなされています。

特定の防爆規格に準拠

ATEX指令(ヨーロッパ規格)やTIIS(産業安全技術協会)など、各国の法規制に対応しています。

特殊な構造

防爆ボックスやシール機構を備え、外部からの可燃性物質の侵入を防ぐ、特殊な構造をとっています。

メンテナンス性の向上

取り付けや交換が容易な設計になっています。

防爆コネクタの使用用途

防爆コネクタは、可燃性ガスや粉塵が発生する環境で、安全に電気接続を行うために使用されます。
ここでは、防爆コネクタの代表的な使用用途をご紹介します。

発電所・電力インフラ

電力業界では、高電圧や高温環境下での安全な電気接続が求められます。たとえば、火力発電所や原子力発電所では、爆発性ガスの発生リスクを伴う設備が多く、防爆規格に適合したコネクタが必要です。主な用途は以下の通りです。

  • タービン制御装置の電気接続
  • 監視・計測センサーの接続
  • 防爆エリア内の配電盤やスイッチギアとの接続

石油・ガスプラント

石油・ガス産業は、防爆コネクタが最も重要視される分野の一つです。 採掘・精製・輸送の各工程で可燃性ガスが発生するため、防爆性能の高い接続機器が求められます。 防爆認証を取得したコネクタを使用することで、制御装置やモーターの電源供給を安全に確保できます。

  • オフショアプラットフォームの電気設備
  • ガスパイプラインのセンサー接続
  • 防爆対応の監視カメラや通信システムの接続

化学プラント

化学プラントでは、多種多様な化学物質を取り扱うため、防爆対応の電気機器が必須です。 特に耐薬品性が高い防爆コネクタが求められ、耐久性や密閉性に優れた製品の選定が重要になります。防爆コネクタは、以下のような設備で活用されています。

  • 危険物貯蔵タンクの監視システム
  • 薬品の自動搬送装置
  • 排気システムのセンサー接続

鉱業・トンネル工事

鉱業やトンネル工事では、粉塵爆発のリスクが高く、防爆対策が不可欠です。特に、地下鉱山や掘削現場では、防爆規格に適合した電気設備が求められます。

  • 坑道内の照明システム
  • 防爆モーターやポンプの電源供給
  • 掘削機器の制御回路接続

これらの設備で防爆コネクタを使用することで、粉塵が原因のショートや発火を防ぎ、作業員の安全を確保できます。

食品・製薬工場

食品工場や製薬工場でも、粉塵爆発のリスクがあるため、防爆対応の設備が必要です。 特に、粉末状の原料を扱う工程では、静電気や火花が発生しやすいため、防爆対策が重要になります。

食品業界では、防爆コネクタに加えて防水性能が求められることが多く、衛生管理が厳しい環境でも使用できる製品の選定が必要です。

  • 粉末製造ラインの制御装置
  • 混合機や乾燥機の防爆モーター
  • 排気・換気システムの電気接続

防爆コネクタの規格

防爆コネクタを選定する際には、適切な防爆規格に準拠しているかを確認することが非常に重要です。

爆発の危険がある環境で使用する機器の安全性を確保するための基準として設けられている防爆規格には、国際的な規格や各国の法規制があります。

ここでは、主な防爆規格とその特徴について詳しく解説します。

電気機械器具防爆構造規格

電気機械器具防爆構造規格とは、労働安全衛生法に基づき、日本国内において電気機器の防爆構造に関する技術基準を定めた規格であり、爆発性雰囲気が存在する場所での安全な使用を目的としています。

実際のメーカーや作業現場では、電気機器の要求構造・設備の設置・配線・維持管理の具体的な基準として「工場電気設備防爆指針(構造規格)」が適用され、より実務的な運用指針が示されています。

また、近年では「国際整合防爆指針」が導入され、IEC 60079シリーズとの整合性が考慮されるようになり、国際基準への適応が進められています。これにより、日本国内の防爆規格と国際認証制度の互換性が高まり、海外市場への対応もしやすくなっています

国際規格(IECEx)

*IECExとは、IEC(International Electrotechnical Commission/国際電気標準会議)の下に運用されている国際的な認証システムの一つで、世界中で広く適用されています。

IECEx認証を取得している製品は、国際的な防爆基準を満たしていることが証明され、複数の国で共通して使用できます。

使用できますが、日本国内ではそのまま使用できない。

日本国内で使用する場合でも、IECEx認証を取得している製品は信頼性が高く、国際基準を満たしていることを示す重要な指標となります。

ATEX指令(ヨーロッパ規格)

ATEX指令とは、EU(欧州連合)が制定した防爆規格で、EU域内で使用されるすべての防爆製品に適用されます。ATEX認証を取得した製品は、EU加盟国における防爆環境での使用が認められています。

七星科学研究所のコネクタ製品

七星科学研究所でも、防爆コネクタを製造・提供しております。 国内の厳格な防爆規格に準拠し、長年にわたる実績と信頼性の高さが評価されています。

以下に代表的な防爆仕様のコネクタ製品を紹介します。

EPC-65シリーズ(防爆対応高耐久コネクタ)

EPC-65シリーズは、耐圧防爆(Exd)構造を採用し、爆発性雰囲気が存在する環境でも安全に使用できる高性能コネクタです。

  • 防爆等級 Exd II BT4
  • JIS圧着コンタクト採用により結線作業が容易
  • 内外部にアース線接地端子を設置
  • アルミ切削シェルで軽量化

詳細は、「EPC-65シリーズ」の詳細ページをご覧ください。

まとめ

防爆コネクタとは、爆発の危険がある環境下で安全に電気接続を行うために設計されたコネクタです。特に電力会社、石油・ガス産業、化学プラント、鉱業、防衛関連施設などでは、適切な防爆対策を講じることが求められます。

防爆コネクタを選定する際には、適切な防爆規格に準拠しているか、防水・耐腐食性が求められるか、用途に適した防爆構造を採用しているかなどを確認することが重要です。

今後、防爆市場はさらなる技術革新が進み、ワイヤレス対応やIoT連携などの新たな機能を備えた製品が登場する可能性があります。企業の安全基準を向上させるためにも、最新の防爆技術や規格情報を常に把握し、最適なコネクタを選定することが重要です。

なお、七星科学研究所でも防爆コネクタを製造・提供しております。日本製で高品質、頑丈で、廃盤になりづらい点などが特長です。 防爆コネクタでお困りのお客様は、ぜひお問い合わせください。